UrboLabでは、2022年2月よりプロボノ(職業上のスキルや経験を活かしたボランティア)の方々のご協力をいただきながら、メタバース活用の可能性に関する調査を行いました。プロジェクトが終了したので、調査結果をご紹介します。
※参考:プロボノワーカー募集ページ
メタバース調査報告書
メタバース調査報告書の全文はこちらからご覧いただけます。
※2022年3月現在の状況をもとに作成しています。
調査の背景
UrboLabでは、シリアスゲームのオンライン上での体験の在り方を模索する中で、「メタバース」を活用したシリアスゲーム体験の可能性を検討しています。
※メタバース:インターネット上の3次元の仮想空間やそのサービスの総称
今後、没入感のあるバーチャル空間上でのシリアスゲーム作成の可能性を追求するため、本調査を実施しました。今後、シリアスゲームのメタバース上での展開を検討しているゲーム開発者にとって有益な情報となれば幸いです。
調査の内容
シリアスゲーム開発・展開に適したメタバースプラットフォームを探るために、サービス比較調査を行いました。ゲームの遊び手だけでなく、作り手の目線からも評価しているのが本調査の特徴です。
<検証対象としたメタバースサービス>
- Cluster
- VRChat
- ROBLOX
- Decentraland
- The Sandbox
- NeosVR
- Horizon Workrooms(Meta)
- Mesh(Microsoft)
- REALITY(グリー)
<評価軸>
- 共通
- サービスの安定性
- 将来性
- 日本語対応
- 遊び手目線
- コスト
- 参加ハードル
- 操作性
- コミュニケーション
- 対応デバイス
- 作り手目線
- コスト
- 開発環境
- イベント開催の制約
- 収益設定方法
メタバース比較表
各サービスの大まかな検証結果は以下のとおりです。
本プロジェクトの調査結果及びUrboLabへの提言
事前調査により検証ターゲットを以下の3つ(cluster、VR Chat、ROBLOX)に絞り、詳細調査を行いました。
調査・検証結果を踏まえ、今後メタバースにおけるシリアスゲームの開発および開発支援を展開するUrboLabに対して、本プロジェクトとしては以下のように提言する。
- 最初に取組するメインのメタバースサービスとしては「Cluster」を活用する。
- 理由:
- Urbolabで既にワールド生成等が進んでおり、とっつきやすい
- 日本発サービスのため日本語情報・コミュニティ・サポートが充実している
- 遊び手目線でも登録やアプリインストール含めて比較的参加しやすい
- Unityベースの開発なので習熟すれば細かいプログラミング制御等も可能
- リスク:
- 今後メタバース隆盛の鍵を握ると思われるNFTには消極的
- グローバルでは定着度が低く日本の人口減少・高齢化と共に下火になる懸念あり
- イベント開催や収益設定において規約や機能で制限がある
- 理由:
- 次点としては「VRChat」へのサービス展開を検討する。
- 理由:
- Cluster同様にUnityベースであるため、Clusterで培ったスキル・ノウハウが直接的に活かせる
- Unityベースであるため、Cluster向けに作成した資産を転用できる可能性が高い
- 日本国内のユーザが多いため、シリアスゲームに興味がある層とは別に「メタバースに興味がある/メタバースを楽しみたい」という顧客層を開拓できるポテンシャルがある
- リスク:
- Clusterよりも高いハードウェアおよびNWスペックが要求される
- ツールの日本語化や日本語情報不足がややボトルネックになり得る
- 登録がSteam前提など、若干初心者にはわかりづらく手間がかかる
- Cluster同様にNFTへの取組は消極的
- 理由:
- 「Roblox」は、今後の展開として適宜必要に応じて再検討する。
- 理由:
- 小中学生で授業等でも活用されている「Scratch」の後釜みたいな形で、今後普及していく可能性があり、ユース層・Z世代の取込に有用な可能性が高い
- NFTにも意欲的であり、小中学生がブロックチェーンの概念を理解する足がかりとなる流れも想定される
- そもそものサービス目的が、ゲーム制作・共有であるため、シリアスゲーム提供プラットフォームとしても親和性が高い
- リスク:
- 専用のStudioで開発するため、スキル再習得が必要
- 現状国内ユーザが多くなく、日本ではこのまま定着せずに他のサービスが先に台頭する可能性もある
- 理由:
調査内容の概要は以上です。 メタバース調査報告書の全文はこちらからご覧ください。 また、本内容に関して気になる点やご意見などありましたら、お気軽にご連絡ください。